17.しょうちゃん

なすりつけのイメージとかってよくないよなぁっていう話です。

 

小学生の頃、しょうちゃんっていう子がいた。

勉強が出来て、スポーツ万能、ユーモアもあって人気者

 

漫画に出てきそうな人気キャラで

ソシャゲで言うSSRキャラといったところでしょうか

 

一方そのころの僕はというと

勉強できない、スポーツは普通、ユーモアは皆無で

地味でクラスの隅っこでごく少数の友達と遊んでいる

 

クラスでいう空気みたいなキャラでした。

 

しょうちゃんの交友関係を見てると

まさにクラスのAチームって感じで。キラキラ輝いているグループの中心人物でした

 

一方、にの少年。地味グループ(それはそれでもちろん楽しかった)

客観的に見れば、しょうちゃんとは住む世界が違ったかな

 

だけど僕はしょうちゃんと仲が良かった。

 

 

それは、二人とも「少年ガンガン」の読者だったのだ

これが唯一しょうちゃんとの接点だった

 

当時、クラスのみんなが読んでる漫画は

もちろん王道の「少年ジャンプ」

 

毎週の発売日には、あの漫画読んだ?って話で賑わってたのを

覚えています。

 

ガンガンなんて読んでる人がほんとにいなくて

下手すればガンガンの存在すら知らないって子もいたほど

(僕の住んでる地域では少なくともそうでした)

 

そんな中、しょうちゃんは何故かガンガンを読んでいた

今思えば何でやねんって感じなんですが

 

自分自身が少年ジャンプの表紙飾るようなキャラなのに

何故ガンガン読んでたのか。直接聞いた事はないのでわかりませんが

 

とにかくクラスで僕としょうちゃん二人だけ

ガンガンユーザーという硬い絆で仲良しだったのです。

 

家に遊びに行ってガンガンを一緒に読んでゲラゲラ笑ったり

イラストを真似て描いたり。

 

そこにはクラスで優等生!キラキラAグループでのしょうちゃん!

とは少し違う顔だったような気がします

 

人気のないガンガンの人気のない漫画キャラの

誰も知らないフレーズを言い合ったり

 

「しょうちゃんならわかってくれる」

クラスで2人だけ知ってるという特別感が僕はとても楽しかった

 

きっとしょうちゃんも同じだったと思う。

 

 

優等生のしょうちゃんは

小学校高学年になると当たり前のように

学級委員長をやるようになった

 

4年生が終わり5年生へ

しょうちゃんはまた学級委員長になった

 

そして6年生になった

またクラス委員を決める事になり

 

今年もしょうちゃんが推薦された

満場一致だった

 

当然、しょうちゃんもそのつもりだろうと思っていた

 

 

先生が

「学級委員長が決まりました」と宣告した時

 

しょうちゃんは机に顔をうずめて

泣きだしてしまった

 

 

予想外の行動にクラスのみんなもびっくりしていた

その時は先生がなだめてとりあえず、その場は収まった気がする

 

その頃、僕としょうちゃんの関係は

家にまでいって遊ぶ事は少なくなっていた

 

2人とも学年が上がるにつれて

なんとなくガンガンを読まなくなって

強力な接点がなくなったから

 

でも、顔を合わせれば

仲良く話せる関係ではあった

 

 

学級委員事件があって以降

僕はどうやって話かければいいんだろうと

軽くパニックだった

 

優等生のしょうちゃん、学級委員なんて

なんの問題もないと思ってた

 

クラスのみんなもきっとそうだったと思う。

 

でも、今思えば

周囲からの期待と自分の本心とのギャップに戸惑ってたのかな

 

しょうちゃんは地元の有名な中学へ行った

6年生の当時、受験勉強のプレッシャーもあったと思う

 

 

子供とは残酷で多数決という圧倒的なパワーで

押し切ってしまう場面がよくある気がする

 

そこに本人の意思はあまり汲み取られない事が多い

 

しょうちゃんも3年連続の学級委員と

精神的ストレスで泣き出してしまったのかな

 

 

・・・・

 

 

別々の中学校に行っても

しょうちゃんとは年賀状のやりとりをずっとしていた

 

絵もうまかったしょうちゃん

ガンガンのキャラクターが描かれた年賀状が届くのが

毎年楽しみだった

 

お互いもうガンガンは読んでないはずだったけど

それでも年賀状に描いてくれたてたのが嬉しかった

 

 

月日は流れて高校生になった。

その頃には自然な流れでお互い年賀状の交流もなくなっていた

 

 

ある日、風の噂で

「しょうちゃんが不登校の引きこもり」になっている事を聞いた

 

親の間では

「真面目で明るいあの子が」って話をしていた

 

 

その時、ガンガンを一緒に読んでいた頃の2人が思い浮かんだ

 

 

そこには

「真面目で明るい」だけじゃないしょうちゃんがいた

 

 

クラスで誰も読んでない漫画雑誌を

クラスで地味なおとなしい僕とニヤニヤしながら過ごした

 

Aグループじゃ見せない一面

あれがしょうちゃんの本当の部分だったりしたのかなーなんて

 

ガンガンのイラスト付き年賀状を何度か送ってくれたのが

それを証明してたような気がする

 

 

真面目で明るい。レッテルに疲れたのかな

優しかったから、いろいろと我慢することもあっただろう

 

人のイメージと本人の意思が必ずしも一致するわけじゃない

今はもう連絡とる方法もないけど

 

 

僕はしょうちゃんと過ごした日々は

すごく大切な思い出として残ってる

 

 

真面目で明るくなくてもいい

 

 

どこかで元気にして欲しいな